9割以上の方が目標血糖値まで改善し、
おまけに通常用量で6kgもの減量が可能…
2型糖尿病治療の治療が劇的に変わる可能性を秘めた「マンジャロ注」が2023年4月に発売されました。
- マンジャロ注がどんな薬剤か理解できる?
- マンジャロと他のGLP-1製剤(トルリシティ/オゼンピック)との違いが理解できる
- 自分に適したGLP-1製剤が理解できる
既存の薬以上に効果が高い薬が満を持してついに登場!
早速解説していきます!
今回ご紹介するマンジャロ注ですが、発売後の急速な需要増に伴いメーカー側からの出荷調整が2023年8月9日現在のところ発生しています。
2024年6月4日に出荷調整が解除されました♫
GIP/GLP-1受容体作動薬とは何か?
インクレチンは、食事を摂ることで腸から分泌され、血糖値の上昇を抑える働きを持つホルモンです。
GIP(Glucose-dependent Insulinotropic Polypeptide)とGLP-1(Glucagon-like Peptide-1)という2つのインクレチンホルモンが存在します。
GIPとGLP-1は、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促進し血糖値の上昇を抑制する役割があります。
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1受容体に持続的に働き血糖値を下げる働きを持ちます。
オゼンピック・トルリシティ・ビクトーザ等が挙げられます。
GLP-1受容体のみならずGIP受容体にも作用する薬剤が今回紹介するGIP/GLP-1共受容体作動薬
「マンジャロ」です。
GIP/GLP-1 共受容体作動薬 | GIP/GLP-1 両受容体に作用 | マンジャロ NEW |
GLP-1 受容体作動薬 | GLP-1 受容体に作用 | オゼンピック リベルサス トルリシティ ビクトーザ |
マンジャロ注の概要と特徴
商品名 | マンジャロ注アテオス |
一般名 | チルゼパチド |
適応症 | 2型糖尿病 |
用法用量 | 開始量2.5mg (効果不十分)7.5 10 12.5 15mgまで増量可 | 維持量5mg
半減期 | 約5-6日と長い |
薬価/本 | 1924円/2.5mg 3848円/5.0mg 5772円/7.5mg 7696円/10mg 9620円/12.5mg 11544円/15mg |
発売日 | (2.5/5mg)2023年4月18日 (7.5/10/12.5/15mg)2023年6月12日 |
- ポイント1 週1回投与のGIP/GLP-1共受容体作動薬
-
すぐに使えて操作が簡単な「アテオス」という専用ペンで、1週間に1回投与します。
- ポイント2 簡単な注射デバイス【簡単3ステップ】
-
アテオスは針の取付、薬を混ぜるなど準備が不要で、すぐに使うことができます。
- ポイント3 治療の強化が可能
-
週1回2.5mgから投与を開始します。
2.5mgを4週継続後、週1回5mg維持用量に変更します。
5 mgを4週継続後、状態に合わせて最大15mgまで増量が可能です。
マンジャロ注の使用方法
トルリシティ注アテオスと全く同じです。
注射器(アテオス)の使い方
- STEP1 灰色キャップを外す
- STEP2 底面を皮膚にあて、ロックを解除
- STEP3 注入ボタンをおす、そのまま10秒程度待つ
投与日の設定
- 毎週同じ曜日に投与
- 食事に関係ない
- 朝昼夕、投与しやすいタイミングを選択可
投与を忘れたときの対応
すぐに投与して、その後は予め定めた曜日に投与
次の投与予定日まで3日(72時間)未満
忘れた分をとばす、その後は予め定めた曜日に投与
投与する場所
おなか・太ももの外側を推奨
毎回、全く同じ場所に投与せず少しずらした場所に投与しましょう
保管方法
- 冷蔵庫(2~8℃)に保管
- 凍結NG もし凍結した場合は破棄
- 冷蔵庫が使用できない場合、室温(30℃以下)で21日間まで保管可
- 高温や直射日光を避けて保管
破棄方法
自治体によって異なる(処方を受けている医療機関に確認しましょう)
当院では投与済の注射器を回収し、医療廃棄物として処理しています。
マンジャロ注の利点・注意点
どれくらい凄い薬剤なのか
実際の臨床成績をみていきましょう!
目 的 | 日本人でのマンジャロとトルリシティのガチンコ対決 【日本人データ】 |
対 象 | 日本人2型糖尿病患者 糖尿病薬なし/糖尿病薬1剤で管理不良の方 |
薬 剤 | マンジャロ:5mg 10mg 15mg |
比較対象 | トルリシティ:0.75mg |
血糖値を大幅に改善【90%以上が目標血糖値達成】
マンジャロ5mg【標準用量】においてHbA1c値を2%以上も改善させ、90%を大幅に超える方がHbA1c値7.0%未満を達成できています。
(今まで強い効果とされてきた)トルリシティと比較してもその効果は際立っています。
大幅な体重減少作用【標準用量で-6kg】
マンジャロ5mg【標準用量】にて体重を約6kgも低下させ、高用量15mgではなんと約10kgもの体重減少を達成しています。
トルリシティがほとんど体重は減らないのと比較すると、その減量効果はやはり際立っています。
マンジャロは著明な減量効果を併せ持つ薬ですが、あくまで糖尿病治療薬です。
下記のような注意点・副作用があることから、減量のメリットが大きい肥満糖尿病患者さんに限り用いる薬です。
ダイエット目的での安易な使用は大変危険です、絶対におやめ下さい。
マンジャロ注の悪い点
副作用も必ず理解しよう!
マン 5mg | マン 10 | マン 15 | トル 0.75mg | |
悪心 | 11.9 | 19.6 | 20.0 | 7.5 |
食欲減退 | 13.8 | 13.3 | 21.9 | 4.4 |
嘔吐 | 8.2 | 5.1 | 11.9 | 1.3 |
下痢 | 17.0 | 8.9 | 11.3 | 6.9 |
便秘 | 15.1 | 17.7 | 13.8 | 10.7 |
腹部不快感 | 6.3 | 7.0 | 10.0 | 2.5 |
低血糖 70mg/dl以下 | 0 | 1.9 | 5.0 | 0.6 |
低血糖 54mg/dl以下 | 0 | 0 | 1.3 | 0 |
重症低血糖 | 0 | 0 | 0 | 0 |
消化器症状【最も懸念される副作用で頻度が高い】
GIP・GLP-1受容体作動薬は胃腸にも作用します。
そのため胃腸障害(食欲低下・吐気・下痢・便秘)の副作用が出やすい薬と言われています。
オゼンピック・リベルサスでも同様の副作用が生じやすかったですが、マンジャロでも同様です。
一方でトルリシティは胃腸障害の副作用は他と比較すると軽い薬剤です。
低血糖リスク【他の薬剤との併用時は注意】
マンジャロは高血糖のときに作用することから単独で使用した場合には低血糖リスクが低い薬剤です。
他の低血糖を来しやすい薬剤(インスリン・SU剤・グリニド)と併用した場合には低血糖が生じやすくなります。
費用が高い
マンジャロ2.5mg | 7696円/月 の1-3割負担 |
マンジャロ5mg | 15392円/月 の1-3割負担 |
マンジャロ7.5mg | 23088円/月 の1-3割負担 |
マンジャロ10mg | 30788円/月 の1-3割負担 |
マンジャロ12.5mg | 39440円/月 の1-3割負担 |
マンジャロ15mg | 46176円/月 の1-3割負担 |
トルリシティ0.75mg | 11228円/月 の1-3割負担 |
オゼンピック0.25mg | 5504円/月 の1-3割負担 |
オゼンピック0.5mg | 11008円/月 の1-3割負担 |
オゼンピック1mg | 22016円/月 の1-3割負担 |
在宅自己注射指導管理料 | 6500円/月 の1-3割負担 |
マンジャロは非常に効果が高い薬ですが薬価が高いです。
用量に正比例して薬価が上昇する為、高用量を使用する場合にはかなり高額になることがあります。
また注射製剤の場合、医療機関に支払う管理料が発生しますし、その他診察料・処方箋料・検査費用等も別でかかります。
マンジャロと
他のGIP/GLP-1受容体作動薬の比較
トルリシティとマンジャロの違い
同じ製薬会社から発売され、注射器も同じうり二つの両製品ですが、先程示したように特徴が実は異なる薬剤です。
それぞれに棲み分けができる兄弟のような存在です。
【マンジャロ】が望ましい方
・減量を狙う場合
・血糖値をより良くしたい場合
【トルリシティ】がむしろ望ましい方
・痩せていて体重を減らしたくない場合
・消化器症状の副作用が懸念される場合
(高齢者・既に消化器症状がある等)
オゼンピックとマンジャロの違い
続けてこれまでGLP-1受容体作動薬として大きなシェアをもっているオゼンピックと比較してみましょう!
目 的 | マンジャロとオゼンピック のガチンコ対決 【海外データ】 |
対 象 | メトホルミン単独で管理不十分な 2型糖尿病患者 年齢:56.6±10.4/歳 BMI:34.2±6.93 人種:白人-米国先住民-黒人-アジア人 82.6-11.1-4.2-1.3/% 罹病期間:8.6±6.46/年 |
薬 剤 | マンジャロ:10mg 15mg |
比較対象 | オゼンピック:1mg |
【結果】
血糖改善作用・減量効果ともに
マンジャロ5mg>オゼンピック1.0mg
【判定】マンジャロの勝ち!
今マンジャロを創薬した会社主導の研究結果ではありますが、血糖改善作用・減量効果ともにマンジャロがオゼンピックを上回っていました。
2020年に登場し、その圧倒的な血糖改善/減量効果により肥満糖尿病患者さんの救世主の一翼を担う立場となったオゼンピックですが、マンジャロはその上位互換的存在であると思われます。
またオゼンピックは針の付替えをする必要がある為、針内蔵のマンジャロのが注射の手間が省け簡単です。
(逆にオゼンピックの付替針は非常に細い為、マンジャロ・トルリシティの注射に痛みがある方はオゼンピックに利あり)
長期処方が可能になる2024年4月以降は
マンジャロが大きくシェアを伸ばすと予想されます。
マンジャロ・トルリシティ・オゼンピック
の違い・使い分け
- トルリシティを使用しているが、
今よりも減量/血糖改善を図りたい方 - オゼンピックを使用しているが
注射の手間が大変だと感じている方 - 2週間毎の通院ができる方
【発売1年間経過するまで】
- 痩せている糖尿病患者さん
- 消化器症状の副作用が懸念される方
(高齢者・既に消化器症状がある)
- 減量/血糖改善作用は大事だが、
2週間毎の通院が難しい方 - トルリシティ/マンジャロで痛みが辛い方
薬剤名・容量 | 金額 | 血糖改善 |
---|---|---|
オゼンピック 0.25mg | 5504円/月 の1-3割負担 | この中では最弱 それでも強い |
トルリシティ 0.75mg | 11228円/月 の1-3割負担 | |
マンジャロ 2.5mg | 7696円/月 の1-3割負担 | |
オゼンピック 0.5mg | 11008円/月 の1-3割負担 | |
オゼンピック 1mg | 22016円/月 の1-3割負担 | |
マンジャロ 5mg | 15392円/月 の1-3割負担 | |
マンジャロ 7.5mg | 23088円/月 の1-3割負担 | |
マンジャロ 10mg | 30788円/月 の1-3割負担 | |
マンジャロ 12.5mg | 39440円/月 の1-3割負担 | |
マンジャロ 15mg | 46176円/月 の1-3割負担 | 最強 |
まとめ
今回ご紹介したマンジャロ注は、肥満で悩む糖尿病患者さんの治療を劇的に変化させる救世主になるかもしれません。
ただ副作用も高率に生じることから使用に慣れた専門医療機関での治療をおすすめします。
肥満に悩む糖尿病患者さんであればご希望があればもちろん当院で処方が可能です。
東海市加木屋町にある糖尿病・甲状腺 加木屋たけうち内科では、積極的に新しい治療を積極的に取り入れて皆さんの糖尿病ライフの向上を目指しています!
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